大判例

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仙台高等裁判所 事件番号不詳〔3〕 判決

主文

本件控訴を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

主任弁護人福島一郎が陳述した控訴趣意は記録に編綴の弁護人勅使河原直三郎作成名義の控訴趣意書の記載と同一であるから茲に引用する。

控訴趣意第一点について

しかし原判決に摘示の証拠を綜合考覈すれば原判示事実は優に認定しうるところでありなお当審で取調べた証人安住進、同遠藤和夫の各証人尋問調書中の供述記載と検証調書中検証の結果の記載を右証拠に附加するときは一層原審の認定に誤りがないことを確知しうべく記録を精査するに原判決には事実誤認を窺うべき事由は存しない。所論は独自の見解に基き犯行の動機、日時、或は犯行そのものにつき別異の事実を主張して徒らに原審の認定を攻撃し、若しくは原審で採用した証拠を批難するものであつて採るをえない。論旨は理由がない。

同第二点について、

原判決は被告人の罪となるべき事実認定の一証拠として被告人の検察官に対する供述調書を掲げていることは所論のとおりであるが記録を精査検討するに其の際における供述が強制拷問又は脅迫による自白であると認めることは出来ない。なお原判決は右の証拠以外に幾多の証拠を綜合して犯罪事実を認定しているのであるから原判決には何等違法の点は存しない。論旨は理由がない。

同第三点について。

原判決は証拠として昭和二十五年十月二十四日及び同月二十七日付の鑑定人村上次男作成の各鑑定書を掲げており前者については法定の鑑定許可状が存していたことは推定しうべく斯る書面は必ずしも当該証拠の提出に当つて提出することを要しないが後者については法定の鑑定許可状が存在しないことは記録上推認しうるところである。よつて仮りに両者とも本件鑑定が裁判所の許可なくしてなされたものとしても元来刑事訴訟法第百六十八条の規定は当該強制処分の対象となる者の基本的人権の保護を完からしめるために設けられたものであつて此の点に関する手続違背はそれだけでは必ずしも証拠の証明力に影響があるわけでなく従つて之により直ちに当該証拠そのものを無効とすべきものでないこと明らかである。されば論旨は到底採用の限りでない。

同第四点について、

記録を精査し、被告人の経歴、素行、年齢、家庭等の関係、犯行の動機、態様、被害者側に存する事情、社会的影響、共犯者との刑の均衡、其の他諸般の情状を斟酌考量して原審の量刑を具さに検討するに原判決が被告人に対し死刑を選択して処断したことにつき毫も量刑不当の点はないと認むべきであるから論旨は採用しない。

よつて刑事訴訟法第三百九十六条に則り本件控訴を棄却すべく、当審における訴訟費用は同法第百八十一条第一項により被告人の負担たるべきものとして主文のとおり判決する。(昭和二七年四月三〇日仙台高等裁判所第二刑事部)

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